株式会社セガ -【SEGA Co., Ltd.】

EPISODE

ゲームができるまで

『プライズ』
開発者インタビュー

MEMBER PROFILE

プライズ開発(コアチーム) 田中 紀光

2007年入社。入社当初は前職の経験活かし、品質管理、流通業務を担当。
2008年から新設されたコアチームに配属され、「電撃文庫」タイトルなどを主に担当し、現在は「ソードアート・オンライン」などのフィギュアアイテムを中心に開発。
2018年より、部内のブランディングのチームリーダーに就き、課を跨いだブランドの起ち上げにも従事。

プライズ開発(スタンダードチーム) 森 汐帆

2014年入社。入社から4年間「サンリオキャラクター」のアイテムを主に担当し、現在は「ミニオン」「おさるのジョージ」のアイテムを中心に開発。
2016年セガオリジナルデザイン「& y♡u」シリーズの新規企画立案からディレクションを担当。
実写映画やアーティスト、コア系アニメ・ゲームなどの幅広い作品のアイテム開発に従事。

プライズ開発 丸森 小葵

2017年入社。入社から現在まで世界的キャラクターのアイテム開発に従事。
セガオリジナルデザイン「ゆめふわ」「moipon」の新規企画立案からディレクションを担当。
ぬいぐるみからフィギュア、アパレルなど、多様なジャンルにてアイテム開発に従事している。

プライズとは、ゲームセンターでおなじみのUFOキャッチャーの専用景品です。

これまでどのようなアイテムを作ってきましたか?

田中

KADOKAWA「電撃文庫」で人気の「とある魔術の禁書目録」や「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」、「ソードアート・オンライン」、講談社の「進撃の巨人」などのフィギュアですね。最近手がけた「<物語>シリーズ」では、別商品でありながら2つのフィギュアを組みわ合わせることで、ポーズも元のイラストを再現できるように工夫したりしています。

企画は自分で立案したんですか?

田中

そうですね。キャラクターの性格を加味して自分でポーズ案を作り、無地のフィギュアでポーズを作って「この子にこういうポーズはどうですか?」と版権元に提案し、無事に許可をいただきました。この「<物語>シリーズ」のフィギュアの台座はドーナツ型なのですが、コストを抑えるために、共通型にして色だけを変えることで、見た目のバリエーションを増やしています。

森さんの代表作は?

セガのオリジナルブランドである「& y♡u(アンドユー)」シリーズです(以下、アンドユー)。コンセプトは、「いつでもどこにでも連れて行けるぬいぐるみ」。「ぬい撮り」という、カフェや旅先などでぬいぐるみを撮影してSNSなどにアップするのが流行っていたことに視点をおいて作られたシリーズです。手足を引っかけたり、座らせたり、寝そべらせたりと自由に動かせられるような形状にしたことで、シーンに合わせていろいろなポーズが取ることが出来、ユーザーにとっても魅力的なぬいぐるみを目指しました。これからも「アンドユー」のキャラクターの幅を広げて、セガのブランドであることを強く推していきたいです。キャラクターを越えたブランドづくりという大きな仕事になりましたが、立ち上げは当時新卒2年目の1つ下の後輩と二人だけで行いました。

田中

当時は20代のスタッフは他にいなかったので、会社としては「若い感性で作ってもらいたい」ということで抜てきしたんだろうね。

丸森さんは?

丸森

私は若い女性に向けたオリジナルデザインシリーズを手掛けています。プライズの開発は流行をつかむことが大切ですが、テレビが取り上げる流行って遅いんですよね。ですからTwitterやインスタグラムなどのSNSをチェックし、特にインフルエンサーが発信する情報に注目しています。2~3年前に「ゆめかわいい」という文化が10~20代の女子に広まりましたが、これまでのプライズにはそういう若い世代のトレンドをつかんだ商品がありませんでした。ゲームセンターには、男性や子どもだけではなく、若いカップルや女子中高生も来店されます。そのような若いユーザーに注目されるプライズをつくりたいと昔から思っていました。

トレンドをつかみ、売れるものをつくるのは難しい

新しいプライズをつくる時、どんなことを心がけていますか?

丸森

SNSをチェックしたり原宿・竹下通りに行ったりしますが、若い人たちが買っているものを見るのではなく、身につけているもの、食べているものに注目しています。そこに新しい商品のヒントがあるように思います。

田中

フィギュアの場合は、アニメが流行るかどうかですね。

丸森

流行るかどうかを見極めるのはどうしているんですか?

田中

Twitterのフォロワー数やSNSの事前登録者数を見ます。今、アニメの数が多くてファンが薄く広く分かれている状況なので見極めが難しいですが、どこに人気が集中しているかが選定のポイントになりますね。アニメ作品は放送前に情報が出ることがありますが、アプリゲームと同じで、事前登録者数が何十万人いるのかが、人気の指標になるのかなと思います。

丸森

確かに、事前登録者数は有効な数字ですね。でも、新製品がリリース前にSNSでバズったからと言って、必ずしもヒットするとは限りません。難しいですね。

田中

ライトノベルの「電撃文庫」のタイトルは成功しました。「俺の妹がこんなに―」は当社が一番初めにフィギュアをつくり、先取りできたな、と感じましたよ。マンガやアニメだけではなく、原作のライトノベルを読んでいて、キャラクターを熟知していた強みが生きましたね。作品をよく理解していることが、フィギュアづくりには大切だと思います。

「ラブライブ」も大ヒットしましたね。

田中

きっかけは版権元からの提案だったんですよ。別のタイトルのフィギュアの監修の為に版権元を訪ねた時に、「ラブライブというタイトルはどうですか?」と話を受けて、それからフィギュアの制作が決まりました。当時はそれほど知名度も高くなく、バイヤーさんは未知数なものには、なかなか手を付けないので、不安もあったようですが、当時の担当者は「これはヒットする」とピンときていたようで、アニメの放映に合わせてフィギュアをリリースしたんです。おかげ様でその後、爆発的にヒットして品薄になり、バイヤーさんから「もっとないのか」と急かされました。彼は「ラブライブ」を手掛けたことで「社長賞」を受賞しています。

放送開始直後からフィギュアを用意したのはすごいですね!

企画から販売まで約1年。展示会の準備にもひと苦労

MD開発の企画から流通までの流れを教えてください。

プライズの企画は、大体発売の約1年前から始まります。受注生産のため制作開始時期が早く、今人気のあるキャラクターのプライズをつくっても、発売頃には流行遅れになる可能性もあるので、流行の感度が重要です。その後、商品の企画を版権元に提案し、商品化の許諾をいただき、工場サンプルを作り、版権元へ監修に出し、校了になるまで修正を行います。

田中

そして年4回行われる、他社との合同展示会で、バイヤーさんの受注をいただきます。その後、中国などの海外の工場で2、3ヵ月かけて生産をはじめて、日本に製品を送り、倉庫から店舗へ搬入。「UFOキャッチャー」へ商品が入れられます。

展示会では、バイヤーさんの購買意欲を高めるために、アイテムの配置や、装飾といった、見栄えをよくする努力は欠かせません。

丸森

シビアですが、売れない商品は売れないですからね。社内でOKもらっても、展示会で響かないとだめですし。

ただ、展示会で人気が出ても実際には受注がなかった、ということもあるんです。そんな時は、営業さんを通してバイヤーさんの意見をもらい、なぜ悪かったのかを分析して次の企画に生かしています。

一人何アイテムくらい担当しますか?

田中

担当数はまちまちで、月に4~5アイテムだったのが急に倍になったり。時間も労力もかかりますね。

商材やキャラクターによって負担の大きさも変わりますが、一人の社員が年間60~100以上扱うのではないかと思います。

丸森

数が多い上に、年4回の展示会に合わせてサンプルを必ず用意することは大変です。

仕事で苦労することは?

丸森

展示会で、いかによく見せてバイヤーさんに買ってもらえるか、ですね。そのために、製品のパッケージからブランド専用のロゴ、ポスター、紙タグなど全て自分たちで企画提案からデータ入稿まで行っています。

商品のパッケージ力、見栄えって大事ですよね。

丸森

私たちが扱っているプライズは、お金を直接払って得られるものではありません。ゲームセンターに来たお客さんに、アイテムを見てわざわざ「欲しい」と思ってもらえないとダメなんです。

田中

展示会ではどんなところに注意していますか。

「UF0キャッチャー」は各筐体毎に対応する製品のサイズが異なります。バイヤーさんから「こういうサイズのこういう形状がほしい」という声が上がるので、それを考慮した商品を展示会でアピールするのも大切です。フィギュアや雑貨で、パッケージの一部を透明にして外から見えるように工夫したりもしていますよね。

これからのプライズには若い人の感性が必要

仕事へのこだわりとやりがいを教えてください。

田中

エンドユーザーに喜んでもらいたいです。「これ作った人、(いい意味で)バカでしょ?」とか、「こいつ、わかっているな」と思われたいです。

私も、プライズを手に取った瞬間、「ファンの心をつかんでいるな」と感じてもらいたいです。

丸森

自分の手掛けたぬいぐるみをもって喜んでいるカップルを見かけた時は、うれしかったですね。

自分が担当したアイテムが売れたり、実際にゲームセンターに入って、ユーザーさんが獲ろうと遊んでくれているところを見かけたときなどは特に感動します。

丸森

100円ではなかなか取れないから、特にお子さんが苦労しているところを見かけると、その場で商品をあげたくなりますね(笑)。

今後の目標と皆さんに向けてメッセージをお願いします。

田中

新しいことにどんどんチャレンジしていきたいですね。MDの仕事は、わからないことをやり続けることこそ楽しいので。今はフィギュア担当ですが、今後ぬいぐるみや雑貨の知識も深めたい。女性向けアプリもおもしろいですね。実際にやってみると、男性の私でも興味がわく点があります。ただ、どのようなジャンルでもお客さんが何を欲しているのか、意識することが大切ですね。

丸森

ぬいぐるみやマスコットは、その人の思い出の一部になることがあります。子どものころに夢中になったおもちゃ、友だちと一緒に取ったマスコットが、大人になってからも手元に残るとか。買った人の人生に添えられる、おもしろいものを作っていきたいです。

自分の仕事で人を喜ばせたいという気持ちはずっと変わっていません。今後も流行を追って新しいキャラクターや商材など、ユーザーにますます親しまれるアイテムを作らなくては、と思います。当社では今、若い人の感性が求められています。一緒に新しいプライズを作っていきましょう。