株式会社セガ -【SEGA CORPORATION】

MAKING

ゲームができるまで

『ホリアテール』
開発者インタビュー

MEMBER PROFILE

ディレクター 内田

1994年入社。
「レッ釣りGO!」、「バベルのメダルタワー」、「アラビアンジュエル」、「ガリレオファクトリー」といったタイトルの開発に従事。本作では企画立案からゲーム全体クオリティ管理を担当。

プランナー 青沼

2020年入社。
「StarHorse4」の運営に携わった後、開発途中から本作「ホリアテール」に参加。本作ではプランナーとして、仕様作成やゲームバランス調整を担当。

プログラマ 橋本

2014年入社。
「StarHorse3」、「StarHorse4」、「JACKPOT CIRCUS」といったタイトル開発に従事。ゲームサーバーの実装や画面上デザインのプログラム実装の経験を持つ。本作では、主にメカ制御プログラムとテストモードの実装を担当。

デザイナー 中井

2016年入社。
「StarHorse4」、「ホリアテール」、「JACKPOT CIRCUS」といったタイトル開発に従事。本作では2D UIデザイナーとして、UI設計・デザイン、タイトルロゴデザインを担当。

システム設計 芦ケ谷

2007年入社。
「頭文字D ARCADE STAGE Zero」「ネイルプリ」といったタイトルの開発に従事。ゲーミング機の開発経験も持つ。本作では、筐体電装設計、組込基板設計・ファームウェア開発を担当。

機構設計 谷口

2020年入社。
入社後新入社員として初めて「ホリアテール」の開発に携わる。本作では機構設計として、筐体外部の操作盤の設計・動作検証を担当。

筐体デザイナー 廣川

2015年入社。
「StarHorse3」、「WCCF」シリーズといったタイトルの開発に従事。本作では筐体デザイナーとして、ゲーム機の外見に関わるデザイン全般に従事。

新作メダルプッシャーゲーム『ホリアテール』は、セガの歴代メダルプッシャーゲームの魅力を詰め込み、新たな技術を導入したバラエティ豊かな意欲作だ。プロジェクトに携わったメンバーに開発の裏側について聞いた。

『ホリアテール』開発の経緯について教えてください。

内田
(ディレクター)

メダルゲーム好きのコアなファンに向け、できるだけ長い時間楽しんでもらうにはどうすべきか、ゲームの機構とルールをプランナーとともに考え、それに合う世界観をデザイナーに考えてもらいました。一度遊び始めたらずっと夢中になってしまうような、“やめどき”をなくす工夫を至るところに施してあります。宝石を掘り当てるなんて設定も、まさに一攫千金ってイメージじゃないですか(笑)。

廣川
(筐体デザイナー)

内田さんから「にぎやかな雰囲気の世界観にしたい」と相談を受け、企画書の表紙や機構の絵を描くところから携わっています。前作『バベルのメダルタワーW!』の特徴的なタワーなど、過去のメダルゲームの要素が詰まった幕の内弁当的なものが求められたので、色々アイデアを出して、内田さんと青沼さんの反応がよかったものを企画に落とし込んでいきました。前作とは違った色味を使いやすく、賑やかになりそうで、かつ、途中で仕様変更があっても統一感を出しやすい世界観として「掘り当てる」というテーマに着地しました。

青沼
(プランナー)

僕はメダルゲームが作りたくてセガに入りました。『ガリレオファクトリー』がとくに好きで、落とし方でメダルの量が変わるなど、色んな遊び方ができるところが面白いと思っていました。今回のプロジェクトは、開発中に試験的に一般ユーザーに公開してその意見を採り入れるロケテストのアンケート結果も参考にしています。実際にプレイヤーがどんな遊び方をしたのか分析し、どんなコンテンツを入れたらもっとゲームが面白くなるかを考えながら、内田さんに相談しながら詳細を詰めていきました。この筐体をプレイしたときに自分がどう感じるかということは常に意識していましたね。

コンセプトを受けたうえで、皆さんの役割とこだわったところについて教えてください。

中井
(デザイナー)

タイトルロゴやメニュー画面、ボタンのデザインなど、ゲーム画面に表示されるほぼすべてのUIデザインのほか、キャラクターの原案を担当しています。
メダルゲームは、お子様や若者、カップル、ご年配の方々まで幅広く遊ばれるジャンルのゲームですから、できるだけ多くの人に目を留めてもらうようにしなくてはいけません。まず、筐体が設置されるフロアは暗いことが多いので、その中でもタイトルロゴが目立つように、縁を黒く濃くして、遠くからでもシルエットが目立つように工夫しました。

『ホリアテール』はゲーム内容のバリエーションが豊富な分、画面に表示されるものも多くなります。情報が増えるほど遊ぶ人にとってわかりにくくなりがちなので、できるだけわかりやすく、親しみやすい画面にすることにこだわりました。

芦ケ谷
(システム設計)

ゲームを動かすためのシステム設計を担当していました。ボールが落ちたら機械が認識する仕組みや、大当たりが出たらメダルタワーを積むといった動作をゲームに反映させる基板の設計やその基板の中で動作するプログラミングを担当しています。
ボールを識別するシステムを一から作る必要があったので、複数色あるボールの色ごとに一つひとつ光を当てて反射具合を計測するという地道な作業を続けてプログラムに起こしました。

内田
(ディレクター)

前作『バベルのメダルタワーW!』でメダルタワーを組み上げたのもそうだけど、新技術を社内でゼロから作ることは多いよね。

谷口
(機構設計)

機構のプロトタイプを設計しては動作を検証する作業をしていました。プロジェクト途中からの参加だったのですが、筐体のサイズなどはすでに決められていて、『ホリアテール』は要素が多いので機構部品も多く、限られたスペースに組み入れるのは大変でした。

橋本
(プログラマ)

ゲームに連動するメカ機構のプログラミングを担当しています。今回のプロジェクトは動くメカ機構が多く、同時に動かすと壊れてしまう箇所もあったので、故障の原因とならないようにプログラミングは慎重に行いました。メダルゲームは全国のゲームセンターに置かれますが、壊れてしまうとゲームセンターには大打撃。お店の人にとって操作しやすく故障しにくいよう心掛けました。とくにメカ機構にはモーターで強い力が加わるのでお店の人がけがしないように注意しましたね。

芦ケ谷
(システム設計)

セガの耐久試験では、筐体を何年も連続稼働させて常にその状態を把握し、保証期間が経過せずに壊れた箇所があれば設計変更するなど、販売前から量産を見据えた設計を行っています。メダルゲームの設計はモーターが動いているので常に危険と隣り合わせ。センサーがイレギュラーを感知したらただちに止まるようにするといった様々なノウハウが社内に蓄積されています。

内田
(ディレクター)

セガのメダルゲーム機はモーター等の部品に耐久性の高いものを使っているので比較的故障は少なく、10年以上稼働する機種も多いです。また機構自体も故障しにくいように考えて作っています。例えば『ホリアテール』ではメダルを飛ばすのにモーターなどの動力は使用しておらず自然落下の力を借りて飛ばしていますので、そもそも故障する部品がありません。

メダルゲーム制作のやりがいは何ですか?

芦ケ谷
(システム設計)

ゲームのシステム設計にはハードウェアとソフトウェアの知識が必要で、プロジェクトでハードとソフトの橋渡しを務められることでしょうか。

内田
(ディレクター)

自分たちが作ったものがゲームセンターに置かれて、お客様がすごく楽しそうに遊んでいるのを見たときかなあ。

青沼
(プランナー)

まさにそうです! SNSで自分が仕様を考えたミニゲームやボーナスゲームなどのコンテンツを「ドキドキできてめっちゃ面白い!」「これだけずっとプレイしていたい!」とか書かれているのを見るとテンションが上がります。

橋本
(プログラマ)

私達にとっては遊ぶ人だけではなくお店の人もお客様です。何よりゲームセンターで実際に遊んでいる様子を直に見られるのは大きいですよ。

中井
(デザイナー)

自分が想定した通りにゲームを不自由なく遊んでくれているのを見ると安心するし、自分の狙いがうまくいったと仕事へのモチベ―ションになります。

谷口
(機構設計)

設計したものが思い通りの動きをしてくれて、お客様が楽しんで遊んでいるのを間近で見られるのはやりがいですね。

廣川
(筐体デザイナー)

ゲームセンターに自分が関わった台が置いてあるのを見るだけでうれしいです。故障することなく長く使ってもらうために安全面やコスト面はもちろん重要ですが、デザイナーとしては、チャレンジする気持ちはなくさずにいたいと思っています。あえて前例のないような型破りなものを提案して、お客さんがワクワクするものをこれからも考えていきます!

芦ケ谷
(システム設計)
谷口
(機構設計)

我々ハード担当は、安全やコスト、耐久性を考えてどうしても守りに入りがちですからね(苦笑)。

セガならではの魅力と、どんな人に入社してほしいかについて教えてください。

内田
(ディレクター)

抽選機を自作して動画サイトにアップしているような方なら、セガで楽しく仕事ができると思いますよ。

谷口
(機構設計)

ものづくりが好きな人にぜひ来てほしいですね。ロボットコンテストに出ているような人は歓迎です!

中井
(デザイナー)

セガは少数精鋭でゲームを作っているタイトルもあるので、そういったチームでは一人当たりの裁量が大きいのも特長です。例えば自分のようなUIデザイナーの場合、UIだけでなく、ロゴデザインやキャラクターデザインもできるので、興味の幅の広い人に向いています。

橋本
(プログラマ)

みんなで意見交換しながら作りあげていくところがありますよね。ディレクターから「どっちがいい?」と聞かれることも多いです。

谷口
(機構設計)

下からも提案しやすい雰囲気があります。

内田
(ディレクター)

いいアイデアなら、誰からでも、どこからでも喜んで使わせていただきますよ! 自由な発想を持ちながらも、現実とも折り合いをつけられる人は大歓迎(笑)。

廣川
(筐体デザイナー)

やりたいことがあって、実現するのに様々な障害があってもへこたれない、粘り強い方にぜひ来てほしいです。

青沼
(プランナー)

セガのメダルゲーム開発現場は、大学のサークルのような、文化祭一週間前の雰囲気がずっと続いているような感じです。

内田
(ディレクター)

ディレクターはいつも試験前の気分だよ(笑)!

(一同爆笑)